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感染症の予防や流行対策においては、対象となる人々の分布や現地の状況についての最新情報が必要になります。しかし、人口調査データが古かったり、遠隔地の情報がほとんど得られなかったりする地域も少なくありません。

そこで、Facebookは感染症対策に取り組む非営利機関と大学に対し、爆発的流行の徴候をいち早く察知し、影響を受けやすいコミュニティへより効果的にリーチできるよう、3種のマップの提供を開始します。人口密度マップ(推定による補足を含む)、移動マップ、およびネットワーク通信可能範囲マップです。これで人々の分布や移動状況、およびインターネット接続環境の有無がより正確に分かるようになります。医療機関からの情報と組み合わせれば、爆発的流行に対する対策の物資配備や対応の改善につながることが期待できます。

「感染症の拡大は人命と生活を脅かすものとして深刻さを増している問題です」と世界経済フォーラムのVanessa Candeias氏(Head of Shaping the Future of Health and Healthcare)は述べています。「リスクを減らし影響を緩和するには持てる手段すべてを通じた対処が必要です」

この取り組みはDirect Relief、FHI360、ハーバード公衆衛生大学院、ワシントン大学保健指標評価研究所、International Medical Corps、ロンドン大学衛生熱帯医学大学院、Malaria Atlas Project、MRC Centre for Global Infectious Disease Analysis at Imperial College London、ノースイースタン大学、Sabin Vaccine Institute、UNICEF、Wadhwani AI、世界銀行、世界経済フォーラムをはじめとする関係各機関とのパートナーシップの下に開始されます。

高解像度の人口密度マップ(一部推定による補足を含む)

Facebookはコネクティビティ改善プロジェクトの一環として、2年前からコロンビア大学と共同で、衛星画像と国勢調査データに基づく世界で最も詳細な人口密度マップの作成を進めていました。その後米国赤十字やMissing Mapプロジェクトの取り組みを通じて、この人口密度マップは公衆衛生活動に大いに有益なものだと気付きました。

このたび提供を開始する高解像度マップは、推定人口密度を30mグリッドという細かさで表示するだけでなく、その中に5歳未満の幼児や子供を持つ可能性のある年齢層の女性、若年層や高齢層がそれぞれ何人いるかという人口統計学的内訳までも、これまでにない精細さで把握できるものです。Facebookデータではなく、衛星写真と国勢調査データをコンピュータービジョンAIで処理することで作成されています。一般公開データと商用データをFacebookのAIの力で組み合わせ、既存の人口マップより3倍も精細なものになっています。

このマップはすでに保健機関による感染症対策物資の配備に活用されています。例えばマラウイでは麻疹対策のため、米国赤十字社とMissing Mapプロジェクトが医療従事者3,000人を動員してワクチンの集団接種活動を行っていますが、このマップで人口密度の高い地域と低い地域が分かることが人員配分を決めるうえで役立っています。

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上の画像は国勢調査データと衛星画像の組み合わせから推定された、タンザニアにおける子供を持つ可能性のある年齢層の女性の分布状況マップです。

移動マップ

マラリアやコレラといった感染症の爆発的流行が発生しうる地域の予測は困難なことが多いものです。しかし最近の研究で、医療機関からの発生報告に人の移動データを組み合わせると、人と人の接触によって感染する病気の拡大について有益な予測ができることが分かってきました。

「人の移動はインフルエンザから麻疹まで、多くの感染症の拡大に大きな役割を果たしています」とロンドン大学衛生熱帯医学大学院で感染症数理モデリングを研究しているAdam Kucharski助教授は述べています。「しかし、人の移動パターンに関する情報を研究者が入手するのはこれまで非常に困難でした」

 

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上の画像はグレーター・ロンドンと周辺地域の間の移動を1日単位で示したマップです。このようなデータはインフルエンザなどの感染症の拡大予測に役立ちます。

私達がこのたび提供する移動マップは、携帯電話で位置情報サービスを有効にしてFacebookを利用している人々から集約した情報をリアルタイムのスナップショットとして提供することで行動パターンを明らかにするものです。コレラや薬剤耐性マラリアなどの感染症の発生状況報告とこのデータを組み合わせれば、次に患者が発生する可能性が高い地域をある程度予測できます。これに基づき治療薬を必要になりそうな所に配備しておけば、爆発的流行が起きた場合にも即座に適切な対応をとることに繋がります。

「このようなデータを感染症の疫学モデルに組み合わせれば、感染がどれぐらいの速度で拡大するか、感染を抑制するためどこに物資と人員を配置すれば良いかを予測できるようになります」とハーバード公衆衛生大学院で疫学を研究しているCaroline Buckee助教授は述べています。

ネットワーク通信可能範囲マップ

モバイルの普及により、公衆衛生に関する情報を手に入れるのはこの10年で飛躍的に容易になりました。しかし、国によっては今もインターネットに接続できる環境がほとんど、あるいは全くない地域があります。地域住民にオンラインで接触できるかどうかの情報も限られており、戸別訪問で周知できる範囲には限りがあります。

その点Facebookは、利用者の大多数が携帯電話からのネットワーク経由で接続しているため、ワクチン集団接種や蚊帳の配布といった公衆衛生活動をオンラインで告知して地域住民に届くかどうかをリアルタイムでマップ化することができます。オンライン上で告知できる地域が分かれば、それ以外の手段が必要な地域に人員を優先的に割り当てることができ、最小限の費用で最大限の住民をカバーできます。

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上の画像は、コンゴ民主共和国で最近エボラ出血熱の爆発的に流行した地域における、3Gネットワーク通信が可能な人々の密度を示しています。

これらの感染症対策マップが公衆衛生機関に対する有益な情報提供となり、より効果的な感染症の予防と流行対策の実施につながれば幸いです。

「この取り組みは、公共セクターと民間セクターのデータの組み合わせが伝染病の感染拡大予測に貢献できる今後の可能性を示唆する歓迎すべき一歩でもあります」と世界経済フォーラムのCandeias氏は述べています。国連は、「持続可能な開発目標」の3つ目として、すべての人の健康を増進することを挙げています。この目標の達成に向けた世界の関連機関による取り組みに、このたび弊社が提供するマップが役立つことを願っています。

Facebookが提供する高解像度人口密度マップは、一部の国を対象に「 Humanitarian Data Exchange 」ページにてご覧いただけます。移動マップおよびネットワーク通信可能範囲マップの利用をご希望の関連機関は、 diseaseprevmaps@fb.com までお問い合わせください(英語のみ対応)。詳しくは、Data for Goodの ウェブサイト をご覧ください。

 

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